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トップアスリートは一般人と吸収・代謝・排泄のレベルが違う可能性!スポーツニュートリションは栄養学的に病的不可として見る必要!

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第40回日本臨床栄養学会総会 (会長:大荷満生氏(杏林大学医学部 高齢医学)と第39回日本臨床栄養協会総会(会長:大澤繁男氏(一般社団法人日本臨床栄養協会 常務理事))が10月6日〜8日に東京都の虎ノ門ヒルズで合同開催され、最終日の8日には「スポーツ栄養と臨床栄養学〜人体栄養の新時代をひらく〜」と題したセッションが開かれた。座長は神奈川県立福祉大学学長で日本栄養士会会長の中村丁次氏と金沢学院大学人間健康学部教授の木戸康博氏。

最初に登壇した、順天堂大学スポーツ栄養・生化学研究室准教授の鈴木良雄氏はスポーツ栄養のデータに関して言及し、「特にトップアスリートは特殊な人間で、サンプルサイズが小さすぎる。例えば女性のアスリートや年配のアスリート、障害者のアスリート等、それぞれの基礎的データが違い過ぎて他のカテゴリーに応用できない。さらに競技ごとでも大きく違っている」といったスポーツ栄養の根幹の問題を提起した。

順天堂大学スポーツ栄養・生化学研究室准教授 鈴木良雄氏
順天堂大学スポーツ栄養・生化学研究室准教授 鈴木良雄氏

また、食事摂取基準に関して「想定されている標準より著しく外れない事が条件となっている。運動によるカロリー消費はせいぜい10%程度で、アスリートには当てはまらない。そもそも必要最低基準であって最適基準ではない」とし、自分の経験からそもそもある程度以上のアスリートは、一般人とは吸収・代謝・排泄のレベルが違う可能性が高いと指摘した。

さらに、最近のスポーツの傾向として大型化があり、体重が重い方が圧倒的に有利な競技も一定数あるため、その対応も難しいとし、「自分が指導している順天堂のラグビー部の夏合宿では体重を落とさない事に苦心し、寝る前に餅を食べさせ、さらにチーズをのせるたりして何とか必要カロリーを摂取させている」と説明した。

日本スポーツ栄養士会会長 髙田和子氏
日本スポーツ栄養士会会長 髙田和子氏

続いて登壇した日本スポーツ栄養士会会長の髙田和子氏は公認スポーツ栄養士養成制度について、「日本スポーツ協会と日本栄養士会との双方の認定資格でこのような資格は なかなかない。現在253名で10月に新たに52名が登録される予定でやっと300人を超えるところ。2年以上かかり非常に厳しいカリキュラムが用意されており、合格率は10%ちょっと」と説明し、現在はスポーツ栄養士が大人気で、資格が乱立しており、レベルの問題があると懸念を示した。

世界的には、スポーツ栄養士に関してはオーストラリアが一番進んでいるとしたが、スポーツ栄養士の国際整合性に関しては、「欧米人とアジア人では体格が違いすぎ、又、食習慣も違うので難しいと思う」との見解を示した。

株式会社ドーム執行役員 青柳清治氏
株式会社ドーム執行役員 青柳清治氏

セッションの最後に登壇したのは株式会社ドーム執行役員の青柳清治氏。青柳氏はまず、栄養の必要性を、病院での術後回復や褥瘡対策、Malnutrition等の治癒レベル、生活習慣病やサルコペニア対策の健康維持レベル、筋肉増強や持久力の維持に向けたパフォーマンスを目的とした3段階に分け、それぞれ違った目的はあるものの、筋たんぱく合成と心拍機能向上、免疫力向上に関しては共通の目的として、今後は栄養プロファイリングが必要になってくると述べた。

さらに、BCAAを具体例として、「サプリメントでも既に60億円の市場を形成しているが、一方で医薬品としても同じく60億円の市場を持っていることはあまり知られておらず、そもそもBCAAが医薬品である必要性があるのか」と疑問を呈し、さらに、グルタミン酸の医薬品にも言及して、「そもそもデータが乏しく「胃粘膜の保護・修復を示すと考えられている」という説明書は医薬品としていかがなものか」と指摘した。

一方で、同じく医薬品でも健康食品でも流通しているEPAは、医薬品とは濃度が違い、サプリメントでは持久力、筋肉痛や関節痛、脂質代謝でそれぞれデータを持つ、非常に有望な素材の1つと説明した。

その後行われたパネルディスカッションでは、スポーツ栄養の根幹の部分に関して、「トップアスリートを育てることは、ある意味、変な人を作っていること。普通の人では金メダルを取れない」と衝撃的な発言もあり、「ある意味では健康や寿命を犠牲にしてもパフォーマンスを優先させるのもアスリートの選択としてある」との意見も出た。

また、座長を務めた中村氏は「今までは、スポーツ栄養は栄養学的に労働の1つとして、労働的負荷としてみていた。しかし、今のスポーツ栄養の話を聞いていると、これは疾病と同じレベルで、病的な不可として見ないといけないと思う」との見解を述べた。

また、松永氏が「撤回の理由を整理して公開するのは難しいのか」と質問したのに対して、赤崎氏は「いろいろな理由があり、理由が1つでないものもある。届け出制と言うこともあり、企業側の判断で撤回している以上、公表することはなかなか難しい」との見解を示した。

一方で、清水氏は「今年の3月に見直しがあってかなりいろいろと改善されたと思う。これを続けていけば、かなり期待は持てるのではないかと個人的には感じている」と一定の評価を示した。

さらに、質問に立った日本栄養士会の中村丁次会長は「機能性表示成分は欠乏症のない新しい栄養素と考えると、栄養素の新しい定義が必要ではないか?つまり、栄養の定義を変えないといけないのではないかと思う。栄養の全体像を整理する必要があり、基本的に見直さないと近い将来大混乱する」と警鐘を鳴らし、「5台栄養素+食物繊維は1日の摂取量がきまっている。機能性成分の一部には摂取基準を設けてもいいのではないか?例えば、イソフラボンには研究がたくさんある。機能性成分に過剰摂取がある可能性もある」と述べ、さらに「例えばカルシウムは医薬品、トクホ、栄養機能食品、その他健康食品といろいろなジャンルにあって、非常にわかりづらい。ここも整理する必要がある」と述べた。

また、質問に立った医師は「医者の世界では機能性食品はまだまだアゲインストである。我々医師はきちんとしたものを患者に届けたいので、このように情報がわかるものはありがたい。また、メディアの役割も大きく、NHKのあさいちでも、時々とんでもない情報が流れている」とした。

議論の中では「今後も論文まで見る消費者は現れない。つまり、機能性表示食品の媒介者が必要。例えばチェーンドラッグストア協会では「街の健康ハブステーション」を立ち上げ、薬剤師や登録販売者、管理栄養士が食品の機能性を説明できるようにしている。専門の人間がブリッジする形で結果的に消費者にアプローチできる。第3次機能を国民の健康に寄り添うようにすることが必要」といった意見も出されている。

[斬新な視点から健康・食・運動スポーツに関する情報を発信するWebマガジン「HealthBrain」2018年10月11日より転載]

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