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自分の顔は人には違う形で見えている!? 美容医療と脳科学で考える美しさとは

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美容医療市民公開講座

第41回日本美容外科学会総会(JSAPS)、第133回学術集会の市民公開講座が10月24日、TKPガーデンシティ品川において開催された。北里大学医学部 形成外科・美容外科学 武田啓主任教授司会のもと、NPO法人 アンチエイジングネットワーク 理事長で北里大学名誉教授の塩谷信幸医師、中央大学文学部心理学研究室 山口真美教授、サフォクリニック 白壁征夫院長が、それぞれのテーマで講演を行った。

美容医療と脳科学から美しさを考える

「美容外科の奨め」と題されたNPO法人 アンチエイジングネットワーク 理事長の塩谷信幸 北里大学名誉教授の講演では、美容医療の歴史と昨今の美容外科の進歩、効果と安全性についてが、実例に沿って紹介された。また、美容外科は単に外見を治療するだけではなく、コンプレックスの解消や老いに対する恐怖や悩みから解放する方法であるなど、美容外科がもたらす効果についても解説された。

サフォクリニック 白壁征夫院長は「なぜ頬はたるむのか?顔の老化の原因とその対策 最新情報」について講演。アジア人の顔の老化に関するメカニズムや、40年間アジア人の「若返り」を専門にしていた美容外科専門医の経験に基づいたエピソード、韓国と日本の美容外科の違いなどが紹介された。

美容医療とは違う分野から参加されたのは中央大学文学部心理学研究室 山口真美教授。「顔を見ることの文化差と発達」という講座タイトルで、認知科学と脳科学の手法に基づいて行ってきた研究をもとに、顔を視覚的にどう判断するのかという不思議を発達と文化差から解説された。自分の顔を意識するときの参考になるので、講演の一部を紹介しよう。

自分の見ている顔は実は違う顔!?

山口教授によると、顔の印象を区別するのは右側の脳を使うという。脳の位置と視覚は交差しているため、左視野で見たものが右の脳に反映するのだ。そのため、同じ顔でも左右を逆転させると、左視野で捉える顔の左右も逆になるので、同じ顔であるのに印象を受けたり、別人と間違えることがあるそうだ。実際に会場のスクリーンを使って、いくつかの写真を映し出し実験したところ、やはり異なる印象や別人と認識する人が多く見受けられた。

実はこの事実は、自分の顔がどう見られているか、にも大きく影響している。自分の顔を見る場合、ほとんどの人が鏡を使う。鏡に映った自分の顔のうち、左視野で捉えるのは顔の左側となる。だが、他人の顔を見る場合、左視野が捉えるのは顔の右側だ。本人と他者とでは、左視野が捉える顔の左右が逆であり、それにより、顔の印象も違うものとなる。

「よく写真で撮った自分の顔を見ると"へんな顔~"という人がいますが、それはいつも見ている鏡に映る顔とは異なるからなのです。他の人から自分の顔がどう見られているか知りたいなら、写真で撮った顔を見るべきです。鏡に映る顔は自分に似ている違う顔なのです」(山口教授)

顔を凝視すると視覚にゆがみが生じる

また、顔じーっと見つづけると、顔は歪んで見えるという。これも実験で証明されているという。鏡で見ている顔自体が本来の顔と異なるのに加え、顔は表情や角度などでも印象は大きく異なるのだ。「自分の顔のここが気になる」、「あそこが気になる」と長時間鏡を覗き込めば込むほど、そのとき自分が見ている顔は、他人の印象とは異なる上に歪んで見える、ということになってしまうわけだ。

「この歪んだ顔を見続けると、たとえば目が小さいなど、コンプレックスに感じる箇所ばかりが気になってしまうので、要注意ともいえるのです」(山口教授)

さらに、顔はパーツではなく全体の印象で記憶されると山口教授は続ける。

「親しい人や、好きなスターの目を思い浮かべてください。目だけを具体的思い出せる人はほとんどいません。これは、顔は全体で印象を判断しているからです。脳は目だけ、鼻だけというパーツでは覚えることができないのです」(山口教授)

しかし、自分の顔を見るときは、全体ではなくパーツに目がいってしまうことが多い。そこに欠点を見つけると、そのことばかりが気になってしまう。「もっと目が大きかったら」、「この一重のラインが気になる」と思っても、その細かな欠点は他者にはほとんど印象に残ってない可能性も高いのだ。

顔の細かなコンプレックス、加齢によるシワやたるみなどの顔の変化など、人は自分の顔から欠点を探し、気に入らない部分を鏡で見続け、嘆き悲しむ。でも、ちょっと鏡を外して、引いた画格で自分の顔を撮影してみてはどうだろうか。いつもと違う顔が映し出されているかもしれない。点ばかりにフォーカスせず、顔というものをもう少し大きな視点で客観的に見てみる、山口教授の話は美容医療への心得へにも通じるとしてとても参考になった。(取材/文 田中優子)

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