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【ニュースの補足】豊胸手術の合併症問題

今朝、ネットで配信されたのが「豊胸手術の合併症問題」。

たとえば
    ↓
「豊胸術」ジェル状充填剤でしこりや感染症の被害相次ぐ
(NHK News Web 2018年11月27日 5時21分)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181127/k10011724681000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_051

夕方のニュースでは、この問題に関係して今日の午後に厚労省で行われた記者会見の様子も報道されました。
    ↓

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TBSの「Nスタ」さんの画像です。

会見をしたのは日本美容外科学会(JSAPS)。

なんで(JSAPS)と入れるかというと、「日本美容外科学会」という、同じ名前の医学会が2つあるからです。
どちらかわかるように書かないと、誤解のモトになりますからね。

JSAPSは、形成外科医で構成される美容外科学会。
もう1つはJSASといい、医師であれば形成外科医でなくても入会できる美容外科学会です。
「ジェイサプス」と「ジェイサス」。違いは「P」があるか無いかですが、JSAPSの医師なら全員手術経験のある形成外科医であることが特徴です。

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そもそも形成外科とは
「身体に生じた組織の異常や変形、欠損、あるいは整容的な不満足に対して、あらゆる手法や特殊な技術を駆使し、機能のみならず形態的にもより正常に、より美しくすることによって、みなさまの生活の質 "Quality of Life" の向上に貢献する、外科系の専門領域」(日本形成外科学会HPより抜粋)

なので、さまざまな合併症の対応や修正手術も行なっているため、安全ではない薬剤や治療法の情報も早いのです。
豊胸手術の合併症についても10月25日~26日に行われた「日本美容外科学会(JSAPS)総会」でも取り上げられディスカッションされました。

どういうことだったのか?
バストを大きくする豊胸手術は、以前は皮膚を切開してシリコンバッグを挿入する方法が主流でしたが、近年は注射によって"注入剤(フィラー)"を入れて大きくするやり方が増えていました。
「メスを使わないから」「傷が残らないから」「短時間で終わるから」という特徴が支持されて。

で、何を注入するかというと、医療用のヒアルロン酸とか、脂肪など。
お腹とかウエストまわりの余分な脂肪を取って胸に注入するのは"一石二鳥"的にボディデザインができますし、ヒアルロン酸は「もともと身体に存在する成分だから安心」ともされています。

ところが。
注入した脂肪はすべて生着するわけではないし、ヒアルロン酸は少しずつ分解・吸収されて減っていきます。

すると、
「分解されにくい、もちのいい注入剤」というのが現れます。
患者さんのニーズをくみ取ったようなこの製剤。あなたなら、どう思いますか?
医療用に作られた製剤なのだから安心、と思いますか?

答えはNO!
体内で分解されない、持ちが良い製剤は、体が"異物"と認識して炎症を起こしたり、皮下組織を破壊したり、肉芽腫を作ってしまったり、ということが以前もありました。
安全なように思えても、何年かたってから合併症として現れることがあるのです。

だから、「吸収されない注入剤は使わない」という医師は多いのです。
でも、使う医師もいるのです。

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JSAPSでは、美容医療に関わる医師にアンケートを行い、豊胸手術のあとに合併症を発症した患者を診察したことがあるかを尋ね、その症状や、使用されていた注入剤についても調査しました。

吸収されるので安心、と言われているヒアルロン酸で合併症が起きた例もありましたが、合併症の76%は吸収されない注入剤が使われていたそうです。
ちなみに、JSAPSでは以前から、非吸収性の注入剤は治療に用いない方針でした。

でも、豊胸手術を行う医師がすべてJSAPSの会員というわけではないし、そもそも美容外科学会に入っていない医師もいます。
美容医療は自由診療なので、どんな製剤・注入剤を使用して治療するかは医師が自由に決めることができます。

「患者の体内に注入して安全かどうか?」を重視する程度は、医師によって違うだろうし、薬剤の安全性やリスクに対しての確認が厳しい医師も、ゆるい医師もいるでしょう。

そして、薬剤の安全性は、使ってみて何年か経たないと本当のところはわからないのです。
ほとんどの人には安全に使えたとしても、合併症を起こす可能性はゼロではありません。
治療を受ける側は、「医療に使う薬剤だから安心」とか「医師が行なうなら安全」という思い込みはしないことです。

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※文章部分は一部しか読めず、誤解を防ぐために加工しました。

会見で、日本美容外科学会(JSAPS)は1年以内にガイドラインを作成すると話しました。

所属する学会が違っても、学会に所属していなくても、美容医療に関わる医師すべてに、できるだけ安全な薬剤・治療法を行って欲しいものです。

そして、治療を受ける側としては、
◆治療が「手軽、簡単」だと言われても、うのみにしないこと。
 簡単で手軽だと感じるのは施術する側=医師かもしれませんよ。そもそも、リスクがあるから医療なので「手軽で簡単」だと言われたから、という理由で受けるのはおすすめしません。
◆そして「治療費が安いから」という理由で決めるのもリスキーです。安いけれど安全性が低い薬剤・注入剤も存在するので。

気になる見た目を改善することで、得られるメリットはたくさんあります。
美容医療は見た目を改善する選択肢のひとつです。が、医療に「絶対安全」はないこと、自由診療ゆえに医師の経験、技術、考え方に差やばらつきがあることを知っておいていただきたい。

体験を含めた取材を20年続けてきて、美容医療の進歩も、心ある医師、熟練の医師もたくさん知っています。
が、決して、安易で簡単で100%安全なものではありません。
安全で、良い治療結果とは、治療法や使う機器・薬剤を責任をもって選び、慎重に施術する医師の姿勢で得られるものだと確信しています。

[美容・医療ジャーナリスト海野由利子公式ブログ 2018年11月27日より転載]

美容・医療ジャーナリスト海野由利子公式ブログ
http://ameblo.jp/uminoyuriko/
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