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見た目も口の中もアンチエイジング【第3回日本抗加齢医学会メディアセミナー】

食事・運動面での健康法からエステなどの美容法、さらには美容医療まで、今や幅広い分野で定着した「アンチエイジング」。その訳語である「抗加齢」を団体名に冠し、アンチエイジング医学・医療における学会として約8,500名の会員(2018年10月現在)を擁するのが一般社団法人日本抗加齢医学会だ。その日本抗加齢医学会が1月21日に今年度3回目となるメディアセミナーを東京都で開催した。

2001年に設立された日本抗加齢研究会を前身とする日本抗加齢医学会には8つの研究会がある(注1)。今回のメディアセミナーでは、その中でも設立年度の古い4つの研究会が、同学会の広報委員長を務める太田博明氏(山王メディカルセンター女性医療センター長)の司会進行により発表を行った。

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まず、眼抗加齢医学研究会からは、同研究会事務局長で慶應義塾大学医学部眼科学教室専任講師の小沢洋子氏が、「Quality of Vision (QOV) のための予防医学のススメ」と題して発表。生活・人生や生命の質、すなわちQuality of Life (QOL)を高めるためには、外部環境情報の8割の入手経路と言われる視覚の質、「Quality of Vision (QOV)」の維持・向上が不可欠。そのQOVを損なう代表的疾患の一つである加齢黄斑変性症(AMD)を予防する観点から、網膜機能障害の原因となる酸化ストレスや炎症のメカニズムや、それを抑制するルテインの抗酸化作用について述べた。

次に、抗加齢歯科医学研究会からは、同研究会代表で鶴見大学歯学部教授の斎藤一郎氏が、「人は口から老いる!」という切り口で発表。「咀嚼(噛む)」、「感覚(味わう)」、「唾液(食物を消化する、口腔内を清潔に保つ)」、「嚥下(飲み込む)」、「構音(発声・発音する)」という5つに代表される口腔機能が低下する「オーラル・フレイル(口腔機能低下症)」により引き起こされる誤嚥性肺炎や歯周病、さらには糖尿病や呼吸器感染、心血管障害などの全身的な疾患のリスクについて述べた。日本抗加齢医学会では、歯科医師や歯科衛生士をはじめとする歯科医療従事者の会員数が2千名を超え、本学会の会員の内訳は内科医に次いで2番目が歯科医等の歯科医療従者であり、それに外科や眼科や産婦人科が続くという。この多科による会員構成からも、アンチエイジングにおける歯科・口腔領域と他領域の関わりの重要性がうかがえる。

続いて、見た目のアンチエイジング研究会からは、同研究会代表で北里大学名誉教授の塩谷信幸氏が、人の「見た目」を皮膚、容貌、体型の3つに分類した上で、それぞれの加齢に伴う変化や医療手法について述べた。たとえば皮膚の場合、皺(しわ)を、いわゆる「小じわ」、「重力によるもの」、「筋肉によるもの」という形態や原因に応じて分類し、スキンケアからボトックス注射、フェイスリフトなどの外科手術まで、個別の対処法について解説。「安全性と有効性のバランスを最大限に考慮しつつ美容医療手法の最適な選択・組み合わせを追求する」という研究会の基本スタンスに沿う内容で語り、昨年6月に施行された改正医療法に伴う医療広告規制の美容医療における重要性に関する話題で締めくくった。

最後に、「人生100年時代を迎える女性にとっての"Well-aging"(ウェルエイジング)とは?」をメインテーマに掲げる抗加齢ウィメンズヘルス研究会からは、同研究会世話人で東京医科歯科大学大学院女性健康医学講座教授の寺内公一氏が登壇。閉経に伴う女性ホルモン分泌減少によりリスクが顕著となる、動脈硬化性心血管疾患や骨粗鬆症性骨折、認知症などの一部の疾患や皮膚の老化について、平均寿命と健康寿命、男性ホルモン(アンドロゲン)と女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量の経年変化、死因別死亡数の推移などに関する男女別統計を用いて解説した。

2月には今回発表を行わなかった4つの研究会(泌尿器抗加齢研究会、抗加齢内分泌研究会、運動器抗加齢医学研究会、脳心血管抗加齢研究会)の活動に関する第4回メディアセミナーが予定されているほか、6月には第19回となる日本抗加齢医学会総会が神奈川県のパシフィコ横浜で開催される。
http://www.c-linkage.co.jp/19jaam/

伝統的に医学・医療では主に体の部位に応じた縦割りの研究や治療が一般的だが、アンチエイジング医学・医療の特徴の一つは、各部位の老化現象やそれに伴う疾患を多科で横断的に捉えた研究や治療。今回と次回のメディアセミナーでの興味深いトピックスは、後日、その観点からより詳しく報告したい。

※注1:この3月に学会初の地方分科会として、第1回九州地方会学術総会が福岡県で開催予定。
http://kyusyu1-jaam.com/

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