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住まいや騒音などの環境が健康を左右する【第3回日本抗加齢協会フォーラム⑥】

日本抗加齢協会フォーラムは、様々な角度からアンチエイジングを考えるのも特徴のひとつ。第3回日本抗加齢協会フォーラムでは「見た目のアンチエイジング」と題して、外的環境因子による健康効果を題材にあげたセッションが開かれ、「住環境」と健康との関連性が取り上げられた。座長を務めたのは近畿大学の山田秀和教授と新潟大学の南野徹教授。

山田教授は、"機能性表示の未来"について「食品に機能性表示があるように、運動器具や脳神経関連器具等、さらには住宅や建材などにも健康機能の表示があってもいいのではないか」として、例えば「血糖値の上昇を抑えるフィットネスマシン」や「血圧の上昇を抑える住宅」などがあると一般の方にもその機能性が分かりやすいのではないかと述べた。

近畿大学建築学部 岩前篤教授
近畿大学建築学部 岩前篤教授

「住宅の居住者健康性に与える影響について」と題して講演した、近畿大学建築学部の岩前篤教授は、「日本の伝統的な住まいは、風通しや日射除けなど、夏の暑さをやわらげることを目的にしており、冬の寒さについては衣服や暖炉、こたつなどの採暖で対応してきた。暖を採る採暖は、部屋を暖める暖房とは全く別の手法であり、非効率的で健康にも良くない」と述べ、2001年にニュージーランドで1350件の住宅を対象に行われた断熱改修工事の健康効果の試験の結果を紹介した。

この試験の結果、断熱工事をした家に住む人は、改修工事をしなかった家に住む人に比べて、寒さを感じる程度は95%減少し、暖房の効きの悪さは60%改善、寝室の平均温度は13.6℃から14.2℃に上昇し、高湿は2/3から1/10に、カビは3/4から1/5に減少した。さらに驚いたことに、子供の気管支ぜんそくと、学校の欠席回数が半減し、断熱改修にかけた費用の2倍の"良い効果"が得られたとのことだ。

平成30年4月には、文科省が学校環境衛生基準を一部改正し、公立小学校の望ましい温度の基準を以前の「10℃以上30℃以下」から「17℃以上28℃以下」に見直しており、「日本でもようやく室温に対する考え方が変わってきている」と岩前氏は述べた。

さらに、岩前氏は2つの面白い研究を紹介。ひとつは「騒音の環境では肥満が増える」という。スウェーデンの研究では、交通騒音が5dB上がるごとに女性ではウエストが約0.2㎝、男性では0.15㎝増加したという。その原因としては、交通騒音によって、腹部の脂肪蓄積を促すコルチゾール(ストレスホルモン)が上昇する可能性を示唆した。また、犬を飼うと死亡リスクが低減するという研究も紹介。同じくスウェーデンで行われた、40~80歳の340万人を対象に12年間調査した研究では、犬を飼うと死亡リスクは11%減少、特に心血管疾患での死亡リスクは15%減ったとのこと。犬を飼うと、散歩等の運動機会が増え、精神的にも安定することが原因として考えられるとのことだ。

住宅環境が健康に大きく影響すると示したこのセッションは、その他の環境因子と健康、ひいては見た目との関係も同様に考え直す必要性を改めて問うこととなった。
(2018年12月14日、日本抗加齢協会フォーラム「見た目のアンチエイジング」より/取材/文 継田治生)

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