文字サイズ
標準
大きく

アトピー性皮膚炎抗体医薬「デュピクセント(デュピルマブ)」 気管支喘息に薬事適応拡大

2018年4月にアトピー性皮膚炎の治療薬としては初の抗体医薬品(生物学的製剤)として国内販売が開始された仏製薬大手サノフィの「デュピクセント」(一般名:デュピルマブ)。この新薬に対して先月26日、「気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者に限る)」の効能・効果追加が承認された。

「重症又は難治の患者」と生物学的製剤

少し古いデータだが、2011年に厚生労働省が公表したリウマチ・アレルギー対策委員会の報告書では「国民全体では少なくとも約800 万人が気管支喘息に罹患していると考えられる」とされ、同省が3年ごとにサンプリング調査により実施する「患者調査」では2008年以降3回連続して推計患者数が増加した。国内の「既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者」の数は不明だが、重症の喘息患者が喘息患者全体の 5~10%を占めるという2010年にデンマークで行われた調査がある。

喘息治療の基本はアレルギー炎症を抑える吸入ステロイド薬を主体としたものだが、重症の喘息患者の場合、標準治療ではコントロールできないような咳や呼吸困難などの症状が持続することが多い。このような患者には生物学的製剤治療が適しているとされ、これまで国内で使用できるのは2009年発売のノバルティスファーマ「ゾレア」(一般名:オマリズマブ)、2016年のグラクソ・スミスクライン「ヌーカラ」(一般名:メポリズマブ)、2018年のアストラゼネカ「ファセンラ」(一般名:ベンラリズマブ)の3種類だった。

デュピクセントは国内で喘息治療に使うことのできる4つめの生物学的製剤となるが、薬事の適応拡大によるものとしては初めてのケース。アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎にも関与する「Type2(2型)炎症反応」に関わる「インターロイキン4(IL-4)」と「インターロイキン13(IL-13)」というサイトカイン(細胞間の信号) の伝達を阻害することにより炎症反応を抑制する点が他の3種とは異なる。

高齢者の喘息は今後も要注意

20年前までは年間5,000人を超えていた喘息死。その数は医療・医薬品の進歩により右肩下がりの傾向が続いてきたが、昨年9月に厚生労働省が公表した2017年(平成29年)の人口動態統計の死因別死亡数では喘息死が前年の1,454人から340人増え1,794人(女性:641人 男性:1,153人)となった。過去20年間で喘息死が増加したのは2回目、1999年(平成11年)以来だ。

喘息死総数の年次推移(1998年~2017年) 厚生労働省「人口動態統計」(平成10年~平成29年分)よりAging Style編集部作成
喘息死総数の年次推移(1998年~2017年) 厚生労働省「人口動態統計」(平成10年~平成29年分)よりAging Style編集部作成

一般的に治療費は高額になりがちだが高い効果を発揮すると言われる生物学的製剤による治療。喘息死の約9割は65歳以上の高齢者という調査報告もあるなか、今回のデュピクセントの適応追加承認がより多くの重症喘息患者のQOL(生活の質)改善やリスク軽減に繋がることに期待したい。

医師・専門家が監修「Aging Style」

デュピクセント®、気管支喘息に対する適応追加承認を取得(サノフィ株式会社)
https://www.sanofi.co.jp/-/media/Project/One-Sanofi-Web/Websites/Asia-Pacific/Sanofi-JP/Home/press-releases/PDF/2019/20190326.pdf


リウマチ・アレルギー対策委員会報告書(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001nes4-att/2r9852000001newa.pdf


The prevalence of severe asthma and low asthma control among Danish adults.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25439368

この記事の監修・執筆医師

注目情報

有益で確かな情報をお届けするという編集方針です。

Aging Style×GOOD DESIGNトークレポート(9)

2019年4月現在、50名の医師や専門家が「Aging Style」に参加しています!

おすすめ記事