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空間3次元+時間1次元=4次元の「見た目のアンチエイジング」

週明け早々に飛び込んできたノートルダム大聖堂火災のニュース。尖塔や屋根が無残に崩落する映像は、一瞬、18年前の9.11テロを連想させる衝撃的なものだった。幸い、被害状況に関して一時情報が錯綜していた南・北・西3ヶ所の「薔薇窓」はほぼ無事だった模様。ステンドグラスをこよなく愛する僕としては少しホッとしている。

今回の火災は改修工事の現場で発生したというが、この先、残念ながらその改修工事とは桁違いの費用と期間をかけた修復工事が必要となりそうだ。幸いなことに世界中から寄せられた寄付の総額は既に9億ドル、1千億円を超えたという。焼失してしまった物を元に戻すことは不可能だが、十分な資金さえ確保できれば以前と同等かそれに近い状態に戻す技術や人材を結集することは可能だろう。

今回の火災を美容医療の話でたとえるなら合併症だ。計画的に施術(=改修工事)を進める過程で合併症(=火災)を誘発してしまい、当初想定した施術どころではない処置や治療(=修復工事)が必要になったというケース。

先週のコラムでも書いた通り、最近は合併症や後遺症のリスクについて、施術や部位ごとの詳しい情報までホームページに掲載している美容クリニックもある。皮下出血、膨張やしこり、感染症、神経麻痺など、美容医療に伴うリスクの種類は枚挙にいとまがない。ネットは間違った情報で溢れているとも言われるが、複数の情報源を活用することにより正しい情報が浮き彫りになることもある。施術を受けることを検討している人には是非とも、さまざまな選択肢それぞれに伴うリスクに関する情報の収集や理解のために十分な時間を費やして欲しい。

さて、歴史的な建造物の場合、修復や復旧といっても完成当時という意味での「元の状態」ではなく、他の部分とのバランスも取れるような「相応に劣化した状態」に戻すことになるが、美容医療の場合は必ずしもそうもいかない。また、多少なりとも「元の状態」に戻そうというアンチエイジングや若返りは主に中高年層のニーズ。若年層、特に10代~20代の場合は「若返り」ではなく、部分的であれ「元の状態」には無いような「生まれ変わり」や「変身」が目標になることが多い。

ノートルダム大聖堂の場合、崩落した尖塔が東京スカイツリーのようなモダンなものに生まれ変わることはないはずだが、美容医療の場合は顔でも身体でも一部分だけがアンバランスに変化して全体的にはかえって不自然になることが往々にしてある。また、近年は2次元の写真ではなく3次元の立体画像を活用して仕上がり等を事前にシミュレーションすることも可能になったが、残念ながらまだ動きのある表情や経年変化までを十分にシミュレーションすることはできない。

空間3次元+時間1次元...の表情の変化
空間3次元+時間1次元...の表情の変化

美容医療においてメインテーマとなる「見た目の美しさ」ではとかく2次元や3次元の静止状態を見て一喜一憂したり他人と比較しがちだが、表情の変化や経年変化のような時間経過の概念と併せて観察や評価、予測などを行わないと期待外れの結果や予想外の問題を招くことがある。

空間に4つ目の「次元」が存在するのかどうかはともかく、仮に4次元を「空間3次元+時間1次元」とするなら、「見た目のアンチエイジング」や美容医療全般においては4次元の面でまだまだ課題が多い。

他方、最近のスマートフォンの機能には目を見張るものがある。4次元視点での「見た目」の把握やその意識・感覚を磨く上では、いわゆる「自撮り」を写真だけでなく動画でも活用するという手が有効かもしれない。

[執筆/編集長 塩谷信幸 北里大学名誉教授、DAA(アンチエイジング医師団)代表]

医師・専門家が監修「Aging Style」

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