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皮膚の保湿で「インフラメイジング(炎症性老化)」や炎症性疾患が軽減?!

「インフラメイジング(inflammaging)」という言葉をご存知だろうか。これは「炎症(inflammation)」と「加齢(aging)」から成る造語。心筋梗塞や脳梗塞、アルツハイマー病、糖尿病などの慢性疾患と密接な関係のある慢性炎症が促進する老化を意味し、「炎症老化」「炎症性老化」とも呼ばれる。

保湿クリームによる全身スキンケア
保湿クリームによる全身スキンケア

保湿クリームによる全身スキンケアがこの「インフラメイジング」の炎症レベルを下げ、加齢や老化に関連する慢性疾患リスクまでも下げる可能性があるというショートレポート(短報論文)が欧州皮膚科学会(EADV)学会誌オンライン版に掲載された(2019年3月5日付)。

この研究はカリフォルニア大学サンフランシスコ校の皮膚科チームとサンフランシスコ退役軍人医療センター(San Francisco VA Medical Center)の共同研究として行われたもの。33人の高齢者(58歳~95歳)が1日2回、30日間にわたり全身に市販の保湿クリームを塗り続け、加齢による炎症性疾患に関わる「インターロイキン1ベータ(IL-1β)」、「インターロイキン6(IL-6)」、「腫瘍壊死因子TNF-α」という3つのサイトカイン(細胞間の信号) の血中濃度を測定した。

その結果、保湿クリーム塗布開始前の参加者自身のサイトカインレベルとの比較においても、同年齢層で保湿クリーム不使用者のサイトカインレベルとの比較においても、3種類すべてのサイトカインレベルが減少したことが明らかになった。クリームの使用により参加者のサイトカインレベルは30代の人とほぼ同レベルにまで低下し、肌の保湿が炎症性老化とそれに伴う加齢関連疾患リスクを抑える可能性を示唆する結果となった。

人間の肌は、表皮pH、水分補給、細胞のバリア機能などの変化により50歳前後から機能低下が始まり皮膚細胞に炎症性サイトカインを放出させる。 老化した皮膚の場合、バリア機能が容易に修復されず炎症性サイトカインが放出され続けることにより最終的には血液に到達する。

研究チームの同大学皮膚科 Mao-Qiang Man 博士は以下のように述べている。 「とても小さな炎症でも全身に影響を与え得ることを踏まえると、その炎症が発生している部位は相応の大きさの臓器、つまり皮膚である可能性が十分にある。加齢に伴いかゆみ、乾燥、pHの変化などの症状・兆候が現れている皮膚には軽微な炎症が発生し、その皮膚はとても大きな臓器であるために循環サイトカインレベルを上昇させている可能性がある。」

研究チームは今後、保湿クリームによるサイトカインレベルの減少が加齢関連の炎症性疾患の発症遅延や予防に繋がる可能性を詳しく検証するため、より長期で大規模な研究を行う予定だという。

医師・専門家が監修「Aging Style」

The Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology:
"Topical applications of an emollient reduce circulating pro‐inflammatory cytokine levels in chronically aged humans: a pilot clinical study"
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jdv.15540

この記事の監修・執筆医師

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