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豊胸術ジェル剤「行きはよいよい、帰りは...」

慌ただしい1週間が過ぎ、10連休のゴールデンウィークが始まった。

数日前、「非吸収性充填剤」と呼ばれるタイプのジェル注入による豊胸術を行うべきでないする共同声明を美容医療関連の学会など4団体が発表し、厚労省で行われた記者会見には僕も同席した。

行きはよいよい、帰りは...?
行きはよいよい、帰りは...?

僕が形成外科医になってからの60年間、国内外を問わずさまざまな豊胸術が行われてきた。現在の主流はシリコンの液体が入ったバッグを挿入するシリコンインプラントのほか、患者自身の脂肪やヒアルロン酸、あるいはジェル状の化学素材を注入する充填剤注入など。

充填剤注入は外科的な手術ではなく注射器による注入という手軽さがあり多くのクリニックで行われている。注入の手軽さという意味で「行きはよいよい」だが、「帰り」はどうか。それは何を注入するかによって変わる。

発表内容の詳細は各メディアの記事や動画をご覧いただくとして、このコラムでも一つだけ補足したい。

今回問題となっている「非吸収性」充填剤に限った話ではないが、日本の場合、国内では未承認の海外製医薬品や医療機器を医師が個人輸入して患者に使用することが認められている。海外では当局や関連学会が使用禁止とした医薬品や医療機器が日本に個人輸入され患者に使用されるケースもある。

使用する医師はその有効性と安全性を十分に確認した上で使用に伴う全責任を負うことが大前提になっているがそれは法的な話。残念ながら手の施しようのない合併症や後遺症で患者が一生苦しむこともある。安全性が十分に確認された医薬品や医療機器を使用していても、患者の状態や医師の技術・知識によっては合併症や後遺症が発生してしまうこともあるのが医療の現実だ。

昨年末、日本美容外科学会(JSAPS)は会員医師に対して行った豊胸手術の合併症に関するアンケート調査結果を公表した。

「豊胸術合併症の全国アンケート調査」(2018年12月8日公表)
https://www.jsaps.com/docs/info/201812_hokyo.pdf

この結果を踏まえると、非吸収性充填剤に対しては「こわいながらも通りゃんせ通りゃんせ(怖いですが通りなさい)」があってはならない。美容医療に関わるすべての医師がそれを肝に銘じてくれることを強く願う。

[執筆/編集長 塩谷信幸 北里大学名誉教授、DAA(アンチエイジング医師団)代表]

医師・専門家が監修「Aging Style」

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