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令和のアンチエイジングは異次元へ (前編)日本抗加齢医学会総会レポート①

「スマートシティ」、「ロボットとの共存」、「美しさの粋(すい)」......。特別シンポジウムのテーマだけを一覧した人はこれが医学の学術集会プログラムだとは気がつかなかったかもしれない。

6月14日から16日までの3日間、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で開催された第19回日本抗加齢医学会総会は「異次元アンチエイジング - 時空を超えた百寿の世界へ。」という全体テーマの通り、いろいろな意味で異次元を感じさせるものだった。

「異次元アンチエイジング - 時空を超えた百寿の世界へ。」(伊藤裕会長)
「異次元アンチエイジング - 時空を超えた百寿の世界へ。」(伊藤裕会長)

もちろん、たとえば「筋肉のニューサイエンス-筋骨連関を踏まえて」や「炎症老化と加齢関連疾患」などのシンポジウム、あるいは近年ブームとなった「腸内フローラ(腸内細菌叢)」の世界的権威マーティン・J・ブレイザー博士(米ラトガース大学教授)による特別講演など、大半は名実ともに医学的な演目で構成されていたが、特別企画として組まれた主なシンポジウムの登壇者たちは異業種交流会さながらの顔ぶれ。その最たるものは2日目の午後、3時間にわたり行われた「百寿社会の創造」シンポジウムだろう。

「百寿社会の展望」と「百寿社会の創造」

今回の学会総会に先立つこと1年3ヶ月前の2018年3月、今回の総会会長を務めた伊藤裕氏(慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科教授/慶應義塾大学百寿総合研究センター副センター長)が代表世話人となり「百寿社会の展望」と題したシンポジウムが東京都内で開催された。

世界保健機関(WHO)が2000年に提唱した「健康寿命」は、日本においては平均寿命(生命寿命)とともに延伸が続く一方、その間、これら2種類の寿命の「開き」として存在した10年前後の差はほとんど縮まることなく推移している。継続的な医療や介護に依存することを余儀なくされる状態に至った場合、つまりWHOの定義と照らし合わせると「健康寿命が尽きた」状態になった場合でも幸福な余生を送る高齢者が多いことに着目した伊藤氏は、健康寿命という概念にとらわれ過ぎず追求できる新たな次元の寿命として「幸福寿命」提唱。同シンポジウムの開催に至った。

今回の日本抗加齢医学会総会のプログラムに組み込まれた「百寿社会の創造」シンポジウムは、昨年の「百寿社会の展望」シンポジウムにおいて提起された論点や課題に対するアンサーソング的な位置づけで、分子生物、医療政策・管理、公衆衛生、経営などさまざまな領域の研究者や実務家が、いわゆる百寿者(センテナリアン)の社会を見据えた提言や議論を展開した。このシンポジウムはあくまでも日本抗加齢医学会の総会プログラムに組み込まれる形で併催された企画ではあったが、今回の総会テーマの「異次元アンチエイジング」はこの幸福寿命という概念に基づいており、それが一見アンチエイジングとは無関係にも思える多種多様なシンポジウムから成る総会を一体感のあるものにした。

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