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海外で主流の電子タバコ、日本で主流の加熱式タバコ 健康への影響は...

つい数年前まで、「タバコ」と言えばほとんどの場合「紙巻タバコ」のことを意味していたが、わずか数年でいわゆる新型タバコ、国内では特に「加熱式タバコ」が急速に普及して状況は大きく変わった。

世界保健機関(WHO)は、7月26日に公表した報告書「WHO Report on the Global Tobacco Epidemic 2019(WHO 世界のタバコの流行・蔓延に関する報告 2019年版)」の中で、新型タバコは従来のタバコ製品と同様に規制されるべきとの見解を示した。これらの新型タバコには従来のタバコ製品と共通する多くの有害物質が含まれていることに加え、まだ登場してから年数が浅く健康への長期的な影響が不透明なことがその主な理由だ。

禁煙、禁...気?
禁煙、禁...気?

報告書では、これらの新型タバコが従来のタバコよりも健康リスクが低い代替品として大手メーカーによる販売が積極的に行われていることも指摘。個々のメーカーや業界全体が実質的な情報操作によりニコチン摂取やタバコ習慣の継続へと喫煙者を誘導することが、喫煙者の禁煙努力やWHOのタバコ撲滅活動に対する現実の脅威として存在しているとした。

海外で主流の電子タバコ、日本で主流の加熱式タバコ

何かとガラパゴス化しがちな日本。新型タバコ市場も例外ではない。新型タバコは、大きくは電子タバコと加熱式タバコの2種類に分かれる。

海外では「electronic cigarette」、略して「e-cigarette」や「e-cig」、あるいは気化装置を意味する俗語で「vape」と呼ばれる電子タバコ。使用者はカートリッジ内の液体(リキッド)を加熱し、微粒子を含む状態で気化させた「エアロゾル(aerosol)」と呼ばれる蒸気を吸引する。その液体にはニコチンを含むタイプと含まないタイプがあり、それぞれ「ENDS(Electronic Nicotine Delivery Systems)」と「ENNDS(Electronic Non-Nicotine Delivery Systems)」という略称で区別される。いずれも葉タバコ由来ではない製品のため、海外では「tobacco」(植物としての『タバコ』や製品としての『葉タバコ』)という名称は使われない。ニコチンは禁煙治療薬の成分でもあり、国内では医薬品医療機器等法(薬機法、旧薬事法)で医薬品に指定されている。このため国内ではENDSの製造や販売ができない。電子タバコとして合法的に流通しているのはENNDSだけだが、実際には国内でも個人輸入などによるニコチンを含む外国製ENDSがかなり出回っていると言われる。

一方、加熱式タバコはタバコの葉を加熱してニコチンを含むエアロゾルを吸引するもの。国内では紙巻タバコなどと同様、「たばこ事業法」における喫煙用の「製造たばこ」として扱われている。タバコの葉を燃やさずに加熱することから海外では「HNBs(Heat-Not-Burn Tobacco Products)」や「HTPs(Heated Tobacco Products)」と呼ばれ、WHO報告書には米フィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)の「アイコス(IQOS)」や英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)の「グロー(Glo)」などの海外大手メーカー製品とともに日本たばこ産業(JT)の「プルーム・テック(Ploom TECH)」が製品例として記載されている。WHOは、タバコ製品はすべて有害であり加熱式タバコもその例外ではないとした上で、喫煙者が紙巻タバコから加熱式タバコに乗り換えることは喫煙をやめる行為としての禁煙にはあたらないとしている。

もともと電子タバコも加熱式タバコも従来の紙巻タバコの代用品として開発されたが、海外ではWHOの「脱tobacco」戦略の裏を行くかのように葉タバコを使用しない電子タバコが普及した一方、日本ではニコチン入りの電子タバコが薬機法との兼ね合いにより認可されないという事情から、新型タバコ市場は加熱式タバコの独壇場となった。

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