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「NHKをぶっ壊す」それより先にぶっ壊すべきものは...

仕組みづくりと意識づけ

遺骨取り違え問題に関するNHK報道では、ある元官僚の大学教授が、厚労省としてはこれまで何度も遺骨の取り違えが起きていたことを認めてしまうことでパンドラの箱が開いてしまうことを恐れたのではないかと指摘している。さらに、霞が関には「前任者がやったことを否定できないようなルールがあり、前任者が避けてきたような話を自分が処理しても評価されないという心情も加わり、問題の解決を先送りにしてしまう状況がある」という。

まったく同感だ。だがこれは霞が関に限ったことではない。大学医学部でも医学会でも同様の傾向は昔からある。他の業界でもこの傾向が多かれ少なかれあることは過去のさまざまな不祥事の報道などからも明らかだ。これは日本人の気質なのか、集団の行動原理なのか。少なくとも信念や哲学という次元のものではない。ぶっ壊すべきものの一例だろう。

アメリカの場合、パンドラの箱があるのなら早めに開かせるような、あるいはそれ以前にパンドラの箱を作らせないような仕組みづくりや意識づけの上手な社会だ。それは医学・医療の進歩や医療事故・医療過誤の予防など面にも表れている。国内外の政治・経済や人種の問題、貧富の差などさまざまな課題を抱える社会だが、次々と噴出する新たな問題や課題にそのようにして取り組む。この仕組みづくりや意識づけに関しては今の日本がアメリカから学ぶべきことも多い。

今後の日本を背負う若者たちのためには、ぶっ壊す必要のある制度・慣習をできるだけ残さないようにするための取り組み、そして学校に限らず家庭や社会全体として子供の教育において、そのようなものを最初から植えつけないようにするための取り組みが大切だ。そのための仕組みづくりや意識づけを阻むものはぶっ壊せば良い。

NHKは、常に広告主の顔色をうかがう必要のある民間放送でもなければ国営放送でもない。NHKのホームページには「公共放送とは営利を目的とせず、国家の統制からも自立して、公共の福祉のために行う放送といえる」という記述がある。ぜひともその本来の使命の一環として、ぶっ壊すべきものをあぶり出し続けてほしい。

[執筆/編集長 塩谷信幸 北里大学名誉教授、DAA(アンチエイジング医師団)代表]

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