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外科手術を受けたハリウッドセレブたちの影響力は? 米研究報告

スマートフォンやSNSの普及とともに世界中で次々と誕生する「一般人カリスマ」ブロガーやユーチューバーなどのインフルエンサー。商品やサービスの宣伝効果では芸能人やスポーツ選手などの有名人をしのぐ影響力を見せるインフルエンサーも増えてきた。だが、こと病気や治療など医学・医療の話題となると、その当事者となった芸能人やスポーツ選手にはかなわない。

ハリウッドセレブ手術
ハリウッドセレブ手術

2013年に発症リスクの高い遺伝性乳がんに対する予防策としての乳房切除、いわゆる「アンジーの決断」が大きな話題となったハリウッド女優アンジェリーナ・ジョリー、若手整形セレブとして名高いカイリー・ジェンナーとその異父姉キム・カーダシアン、そしてキム・カーダシアンの元義父で65歳にして性転換手術により女性になった元オリンピック金メダリストのケイトリン・ジェンナー。これらの有名人が受けた外科手術のニュースによる影響に関する研究が、美容(形成)外科の専門誌「Aesthetic Plastic Surgery」オンライン版(2019年8月7日付)に掲載された。

Google Trends(Googleトレンド)活用術

研究を行ったのは米スタンフォード大学医学部やワシントン大学医学部などの研究者たちからなる研究チーム。過去にはアンジェリーナ・ジョリーと同様に予防的乳房切除術を希望する患者を対象として行われた調査・研究などもあったが、今回の研究チームが研究手法として着目したのは「Google Trends(Googleトレンド)」によるもの。Googleトレンドは、特定のキーワードや話題がGoogle上でどれだけ検索されているかを調査できるツールだ。

研究チームは、アンジェリーナ・ジョリーが受けた乳房切除術、カイリー・ジェンナーが受けた唇のフィラー(充填剤)注入、ケイトリン・ジェンナーが受けた性別適合手術について、その事実が公表されたそれぞれの日を基準日として設定。「ブラジリアン・バット・リフト(BBL)」と呼ばれる臀部(尻)への脂肪注入手術を受けた可能性で話題となったキム・カーダシアンの場合は本人による公式情報がないため、その話題がネット上で盛り上がった日を基準とした。短期的な比較対象期間は個々の基準日の前後1ヶ月間ずつ。長期的な比較対象期間は2004年1月から2019年3月までの期間内で、基準日以前の期間と基準日から起算して6ヶ月目以降の期間として、特定のキーワードの検索記録を比較・分析した。

分析結果は...

その結果、アンジェリーナ・ジョリーが2013年5月に公表した予防的乳房切除術の場合、短期比較では「mastectomy(乳房切除術)」への関心度(検索数値)が1328%、「prophylactic mastectomy(予防的乳房切除術)」は324%、乳がんリスク遺伝子名の「BRCA1」は316%、同「BRCA2」は138%、「BRCA gene(BRCA遺伝子)」は354%増加。長期比較でも「prophylactic mastectomy」を除くすべてのキーワードで手術公表後の検索数値が高かったことが明らかになった。

同様に、カイリー・ジェンナーが2015年5月に公表した唇へのフィラー注入の場合、短期比較では「lip augmentation(唇増大)」への関心度が43%、「lip enhancement(唇強化)」は37%、「lip fillers(唇充填剤)」は3233%、「lip implants(唇インプラント)」は8%、「lip injections(唇注入)」は13%増加。長期比較では「lip augmentation」「lip enhancement」以外のキーワードの数値が高かった。

ケイトリン・ジェンナーが2017年4月に公表した性別適合手術の場合、短期比較では「gender affirming surgery(性別適合手術)」への関心度が119%、「gender reassignment(性別適合)」は186%、「gender reassignment surgery(性別適合手術の別称)」は203%、「transgender surgery(性転換手術)」は35%増加。長期比較では「sex change(性転換)」以外のすべてのキーワードの数値が高かった。

キム・カーダシアンのいわゆる「豊尻術」の場合、その噂が広まった2014年2月を境とした短期比較では「butt enhancement(臀部増大、豊尻術)」への関心度が34%、「butt implants(臀部インプラント)」は100%増加し、長期比較ではいずれのキーワードも事後の数値が高かった。

研究チームは、有名人が公表する自身の医療情報と一般人の認識する医学用語に対する関心の相関がGoogleトレンドのデータ解析により明らかになったとして、特定の医療情報や事象が一般のネットユーザーの医学的な関心に与える影響をリアルタイムで予測するツールとして、Googleトレンドの幅広い活用の可能性を示唆した。

一般的に使われる病名や治療名が必ずしも正式名称ではないというケースは往々にしてある。日本の場合の一例として、正式な診療科(標榜科)としては「形成外科」「美容外科」または「美容皮膚科」で行われる美容医療の手術や施術が、一般的には「美容整形」という俗称で呼ばれることが多い。このように一般のネットユーザーが通称や俗称を使用して症状や手術名などの医学用語を検索することは多いため、対象とする検索キーワードの選定が調査のポイントになるが、日本でも今回と同様の手法による研究が医療サービスや公衆衛生などさまざまな場面で行われるようになるかもしれない。

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