文字サイズ
標準
大きく

睡眠 x テクノロジーの最前線、「スリープテックEXPO 2019」

「睡眠のセンシング技術:家庭用デバイスへの応用」

「日経 xTECH EXPO」メイン会場に設けられたセミナールームでは、「睡眠負債」「スタンフォード式 最高の睡眠」で著名なスタンフォード大学教授で睡眠生体リズム研究所長の西野精治氏や、食事の摂取時間・体内時計に関わる「時間栄養学」の第一人者で早稲田大学先進理工学部教授の柴田重信氏など、多彩な顔触れによるセミナーが連日開催された。

その中の一つ、東京大学アイソトープ総合センター特任研究員の裏出良博氏は「睡眠のセンシング技術:家庭用デバイスへの応用」というテーマで講演。

東京大学アイソトープ総合センター 裏出良博氏
東京大学アイソトープ総合センター 裏出良博氏

裏出氏は脳内神経伝達物質を専門とする研究者で、コーヒーを飲むと眠れなくなる理由を解明したことで知られているが、脳波を計測する機器開発との関わりも深い。講演では、浅い眠りの「レム睡眠」時と深い眠りの「ノンレム睡眠」時の脳波の比較から、南極・昭和基地や宇宙飛行士・古川聡氏のなど自身が関わった携帯型脳波計の開発や実証実験、各種の携帯型脳波計測機器や脳波解析ソフトウェアの比較、さらには欧米の一般向けウェアラブル脳波センシング機器や睡眠ソリューション機器の最新トレンドまで、計測技術の進歩と低コスト化により一般家庭での可能性も広がる脳波センシングの過去・現在・未来について解説した。

一般向けの睡眠改善機器やアプリの場合、睡眠計測は体動やいびき・音声のセンシングによるものが主流。睡眠深度の判定精度は近年の技術革新で高まっているが脳波計測には及ばない。裏出氏はスリープテックのさまざまなプロセスを、脳波や体動、血圧、心拍、呼吸など、睡眠深度をはじめとする睡眠状態のセンシングと、その計測・分析結果を踏まえて視覚・聴覚・触覚や痛覚・圧覚・振動覚などへの作用により睡眠の質の改善や悪化予防を図るソリューションの2つに分け、これらが連動するシステムを「スリープテックのエコシステム」として図解した。家庭用や一般向けのスリープテックにおいては必ずしも脳波計測レベルでの精度が必要とされないケースもあるが、裏出氏が海外の最新トレンドとして「スマート寝具」「いびき対策製品」とともに挙げたのが「脳波計測(活用)製品」。今後、脳波計測機器の小型化・簡便化や低コスト化によっては日本にもその流れがやってくるだろう。

いわゆる「自覚なき睡眠障害」も含めると15兆円超とも言われる日本の睡眠障害による経済損失。スリープテックを活用した睡眠マネジメントは単に個人の快眠獲得や生産性向上、メンタルヘルスの維持・改善にとどまらず、企業の生産性向上や収益拡大、そして社会全体の成長や健康寿命の延伸の可能性につながる。スリープテックEXPOは、家庭と職場、個人と企業、研究開発と商品化・事業化、センシングとソリューションなど、さまざまなセグメントやレイヤーが連動することで進化するスリープテックの未来を予感させるイベントとなった。

医師・専門家が監修「Aging Style」

注目情報

有益で確かな情報をお届けするという編集方針です。

「バリウム検査」は何のため?

2019年4月現在、50名の医師や専門家が「Aging Style」に参加しています!

おすすめ記事