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大炎上「血液クレンジング」騒動は氷山の一角

劇的なビフォー・アフター

厚労省の話の前に、いわゆる「ビフォー・アフター」の視覚効果について触れておきたい。

赤血球に含まれるヘモグロビンには、酸素と結合すると鮮やかな赤色になる性質がある。肺の中で酸素を多く取り込み、心臓というポンプで全身に送り出される「動脈血」がいわゆる鮮血色をしているのはこのためだ。血液オゾン療法で採取される血液は静脈血のため、医療用オゾンガスで血液が鮮やかな赤色に変わるという視覚効果は大きい。

シミ取りや美白ケアのような肌に対する施術の写真では「ビフォー・アフター」も珍しいものではないが、その効果が表れビフォーとアフターをちゃんと比較できるようになるまでには数週間から数ヶ月を要する。例えば先月のコラムで書いたシミ取りレーザーの場合、照射後の「かさぶた」のような施術後のダウンタイムは比較的短い。だが、僕が専門としてきた顔や体の各部位の「形成」を行う形成外科手術の場合、その目的が再建であれ美容であれ、数ヶ月から数年かけて治療するものも多い。その間、患者は不安と期待の入り混じる日々を過ごすことになる。

一方、今回の血液オゾン療法の場合、体外に取り出した血液が鮮やかな色に変わるさまを手品のように患者の目の前で見せることができる。いずれにせよ肺に戻れば酸素補給される血液に一足早く酸素補給することの治療効果はともかく、血液が「クレンジング」されたことを患者が実感するに足る視覚効果はあるだろう。効果のない薬や治療法であっても患者自身がその効果を信じ込むことで症状が多少改善することがあるという、いわゆる「プラセボ(偽薬)」効果に繋がる可能性はある。

余談だが、このような酸素補給を24時間365日、何十年も休まず続ける肺は大したものだ。

さて、冒頭で触れた尾辻議員の厚労省に対する追及は、この血液オゾン療法の安全性や医療広告上の問題に対する厚労省の認識や見解に関するものだった。

この記事の監修・執筆医師

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