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「感染症対策に積極的な国家投資を」 WHO事務局長が警鐘

世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は先週、「Urgent health challenges for the next decade (今後10年間における緊急の健康課題)」と題した声明を公表した。

WHO「今後10年間における緊急の健康課題」
WHO「今後10年間における緊急の健康課題」

WHOは昨年1月、「Ten threats to global health in 2019 (2019年の世界の健康に対する10の脅威)」と題した声明を公表。以後1年間で取り組むべき10の課題を「脅威」という言葉を使って示した。その半数は感染症に関連するものだったが、今回の声明ではそれらを踏まえつつ、今後10年間は「行動の10年」と位置付け、2030年を達成期限として国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」を強く意識した13の課題を掲げている。

同局長は、これら13の課題への取り組みには健康・医療業界外からの協力や対応も重要であることを指摘。公衆衛生は最終的には政治的な選択だとしつつも、世界の国々がテロ攻撃への対策には多額の資金を投じる一方で、経済的・社会的にはそれ以上の致命傷になり得るウイルス攻撃に対して十分な投資を行っていないとして、感染症対策のための積極的な国家資金投入を呼びかけている。

折しもこの週末に春節休暇を迎える中国では新型コロナウイルスの感染が広がっており、日本では対岸の火事とも言えない状況になっている。今回公表された13の課題には、日本をはじめとする先進諸国では国内問題としてさほど心配する必要のないものも含まれているが、感染症には国境がない。個々人の感染症予防の積み重ねが地域や国、さらにはグローバルな集団予防にもつながるという側面を一人ひとりが意識することは重要だろう。

Urgent health challenges for the next decade
(今後10年間の緊急の健康課題)
※以下、括弧内は趣意

・Elevating health in the climate debate
 (気候変動論議における健康危機の議論を高める)
・Delivering health in conflict and crisis
 (武力紛争や危機が存在する地域で保健サービスを提供する)
・Making health care fairer
 (健康・医療の格差を減らす)
・Expanding access to medicines
 (低所得層にも医薬品を行き渡らせる)
・Stopping infectious diseases
 (感染症の拡大を阻止する)
・Preparing for epidemics
 (感染症の流行に備える)
・Protecting people from dangerous products
 (健康被害をもたらす危険な製品から人々を守る)
・Investing in the people who defend our health
 (私たちの健康を守る医療従事者に投資する)
・Keeping adolescents safe
 (青少年をHIV感染や自殺から守る)
・Earning public trust
 (ワクチン接種や服薬に対する一般の信頼を得る)
・Harnessing new technologies
 (最新技術はコントロールして安全に活用する)
・Protecting the medicines that protect us
 (私たちを守る薬を薬剤耐性問題から守る)
・Keeping health care clean
 (水質など基本的な衛生環境を清潔に保つ)

医師・専門家が監修「Aging Style」

【参考】
世界保健機関(WHO): Urgent health challenges for the next decade
https://www.who.int/news-room/photo-story/photo-story-detail/urgent-health-challenges-for-the-next-decade
世界保健機関(WHO): Ten threats to global health in 2019
https://www.who.int/news-room/feature-stories/ten-threats-to-global-health-in-2019

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